ただ愛されたいだけなのに



 鍵を開けてドアノブを回してから、足下に落ちているダンボール箱に気がついた。
「わあ、今のわたしはサンタさんから嫌がらせのゴミを貰えるのね」
 一人で皮肉を呟き、ダンボールを持ち上げた。外には誰もいない。二階から地面へ落としてやろうかな……。でもなんだか重みがある。箱の中身が気になってきた。縦と横に振ると、何かがぶつかり合い、擦れる音がした。もしもこれが爆弾だったら——という妄想はやめて、わたしはダンボールを投げずに、足下に置いてしゃがんだ。開け口はガムテープでしっかりと閉じてある。

 テープの端っこを爪でガリガリしていると、住所のラベルが貼ってあることに気がついた。

〈宛先:斎藤夢様〉

 ウソ。十九年間生きてきて、プレゼントを郵送されるなんて初めてだ。

 わたしは送り主の名前を見た。下手くそで汚い字が書いてある。

〈山口正紀〉

 ちょっと待って——これは何かの冗談? 現実よね?
 わたしは急いで家の中に入った。