こんなの、もう嫌。欲しいものを買っても、満足感がまるでない。だって、欲しいものは、正紀だもん。
とてつもない孤独感と惨めな自分がすごく嫌で、しゃっくりが出るほど泣いてしまった。鼻水が寒さで凍りそう。
「おーい」
泣きじゃくった顔をあげると、前方にベルファイアの大きな車が停まっていた。
「クリスマスプレゼント!」
運転席にいる白田が笑顔で手をふっている。
わたしは涙を拭いて近寄った。
「プレゼント?」
「ほら……って、おい。どうした?」白田が困ったような笑顔を浮かべた。「車に乗りな。その顔じゃ、ナンパ野郎に喰われるぞ」
わたしは素直に従った。もう自力で帰れる気がしない。
「ほれ。クリスマスケーキ」
白田がラッピングされた赤い箱を渡してきた。紺色のハンドタオルも乗っている。
「プレゼント、ですか?」
わたしは鼻をグズグズ鳴らしながら聞いた。
「おう。夢はショートケーキのイメージだから、ショートケーキにしといた」
「アハッ、なにそれ……」
不覚にも、とびきり嬉しい言葉を言われて、鼻水が出そうになった。
「プレゼントって、この車のことかと思いました」
