ただ愛されたいだけなのに



 なにこれ? なにかの冗談?
 わたしは三度読み返して、返事を打った。


 夢 :ふざけないで。もうチケット予約してる
    んだけど。
    ガッカリなんてしないよ。会いたいもん

 サイテー。ホントにサイテーサイアク。どうしていつも正紀は、自分の気持ちしか考えないの? 自虐してわたしのことを思ってるように見せかけて、実はいつも自分を守ってる。土壇場になって、こんな仕打ちってあり?
 メッセージが届いた。


 正紀:本当にごめんなさい。


 わたしはうなだれた。どうしてわたし、こんな男を好きなんだろう。

 夢 :そんなんじゃ、一生会えないじゃん。
    ほんとうは、わたしのこと好きじゃない
    んでしょ。
    だから会わないんでしょ? ふつう好き
    だったら会いたいと思うもん。

 
 返事がくるまで落ち着けなくて、ポーチ探しは後回しになった。普段は見もしないタンスの裏をチェックしてみたり、コンロの裏を見てみたり。一時間後、ようやく返事が返ってきた。
 噛みつく勢いでスマホに飛びつく。一心不乱に画面をスクロールしまくり、何度も誤操作をして、ようやく開けたメッセージは、たったの三文字だった。


 正紀:ごめん