ただ愛されたいだけなのに



 わたしはスマホの電源を切って眠った。どうせ明日も予定は何もない。無職なんだもん。

 午前七時二十分——サイアク。習慣というものは恐ろしい——自然と早起きしてしまった。早起きする時のデメリット、それは朝食を用意しなくちゃならない。とはいえ、わたしが口にするものは決まってる。

 シーチキンを食べながら、スマホの電源を入れる。
 正紀にやさしくしなきゃ。せっかく会う気になってくれたんだもん。
 メッセージが五件も入っている。なんだか嫌な予感がする……。また、ネガティブにさせちゃったかも。昨日のわたし、そんなにカンジ悪かった?


 正紀:電話ごめんな。おやすみ
 正紀:もう寝たかな。寝たよな。いつも口下手
    で困らせてごめんな。次からは努力する。
 正紀:このメッセージを見たら、夢は俺のこと
    を嫌いになると思う。
    夢はかわいくて、面白くて、俺は本当に
    本気で夢のことが好きだ。だからこそ、
    会う勇気がない。電話の時みたいに、つ
    まらない思いをさせてしまうと思う。
    いや思うんじゃなくて、させてしまう。
    だから、飛行機のチケットは買わないで
    くれ。あんなに楽しみにしていたのに、
    ごめんな。俺はクズだよ。
    ガッカリされたくないんだ。 

 正紀:バイトは辞める必要ないよ。むしろ続け
    てくれ。