控え室での休憩も地獄なら、客がこぞって集まるランチタイムも地獄だ。わたしのシーチキンは色あせたピンクで、臭くて不味くて猫の餌みたいだけれど、Aセットのチキンソテーはとんでもなく美しい色に、こうばしい香り。それにライスかバケットを添えて香り豊かなスープとともに味わう。

 チキンにナイフを入れているサラリーマンに襲いかかって、皿がピカピカになるまで食べて舐め尽くしたい……。うゔ、気持ち悪くなってきた。明日からはマスクを装着しよう。

 夕食にもシーチキンを食べながら、飛行機のチケットをネットで予約した。なんと往復一万円で取れた。これなら、そんなに旅費にこだわらなくても……いやいやいや、ダメダメ。旅行中にもシーチキンを食べるわけにはいかない。うんと美味しいものを正紀と二人で食べるんだから、それまで我慢しなくちゃ。それに、スリムにならなきゃ。

 空腹状態で入るお風呂は、なんとも気持ちが悪い。お湯に浸かると吐き気がしてきて、ものの二分で脱出した。

 胃液を吐きそうになりながら、チケットを予約したことを正紀に伝えた。
「往復一万円だよ⁉︎ すごくお得だよね」