夜には、さっそく正紀に愚痴る。
「あの女、わたしのことを目の敵にしてるんだよ」
「そうだなぁ。確かに嫌だな、そういう人が職場にいたら」正紀が珍しく同意した。
「でしょ⁉︎ あの人、わたしの監視を任されてるわけでもないのに」
わたしは身体の向きを変えると同時に、話題も変えた。
「ねえ、会う日はさぁ、イブイブから会おうよ」
「イブイブって?」
「クリスマスイブの前日のことをイブイブっていうの」
「あぁ、うん、いいんじゃない……の? あー、緊張するなぁ」正紀は笑いながら答えた。
「わたしも。正紀の前だと、恥ずかしくて緊張しそう」
「それかわいいな。緊張する夢を見れるのかぁ」
この日も電話は深夜まで続いた。両方が眠くなるまで話し続ける。正紀と会える——ただそれだけで、嫌なバイトだって続けられるの。
正紀:おはよう、夢。今日は寝坊した
正紀:夢ってかわいい名前だよな。名前負けも
してないし
わたしはニヤニヤしながら返事をうった。
夢 :おはよ。おかげさまで名前がお気に入り
になった♡ありがとう♡
