「そうだよぉ。行こう、斎藤さんも」
 亀田さんがわたしの腕をとり、もう一方の空いている腕で先生の腕に絡みついた。
 わたしを道具に使うこの女と、誰が飲み会に行くっていうの?

「予定があるの?」
 しつこく聞いてくる末吉さん。
「予定は、ないですけど……」
 わたしはごにょごにょと口をもぐもぐさせた。もうこれが最後なんだし、ハッキリと行きたくないって言ってやろうかな。
「でも、あの……」

「仕方ないですよ」
 両手に女の先生が言った。
「急でしたしね」
「そっか……残念」と末吉さんは肩を落とすと、馴れ馴れしくもわたしの頭を撫でた。
「またいつか飲みに行く時は、必ず参加してね」

「はい。ぜひその時は」
 そんな時はおとずれないけど。
「えっと、ありがとうございました。三ヶ月間も、ほんとに、ありがとうございます」

「またね、斎藤さん」
 亀田さんが悲しげにほほ笑んだ。演技かも。

「それじゃあ……お疲れ様でした」
 先生が、たいして興味もなさそうに言った。