「斎藤さんも行く?」と福留さん。
彼女は行くようで、バッグを肩にかけて、歩き出そうと構えている。
「わたしはいいです。飲めないので」
わたしは控えめに断った。福留さんに八つ当たりするわけにはいかないもん。
「えー! ああ、でもそっか……未成年だもんね……」
みんなと一緒に外へ出て、飲み会へ行く連中がタクシー会社に連絡をしている間、わたしたちは別れの挨拶を交わした。
「また会おうね」と福留さん。
「はい。ぜひ、また会いましょう」
これが社交辞令だってことくらい、わたしにだってわかる。「いつかまた」
「斎藤さんは行かないの?」
先生と腕を組んでいる末吉さんが話しかけてきた。この人と話したのは、今日が初めてだ。後ろに亀田さんもついてきている。
「行こうよ! 楽しいよ、絶対」
「あの、でもわたし、未成年だから……」
ほんとに、未成年じゃなくても参加したくない。
「大丈夫大丈夫、飲まなければいいんだから」と末吉さんは言う。
「みんな、斎藤さんを連行するよ!」
