「友達と飲んでます」と先生。「ほとんど宅飲みっすね」
「わたしも宅飲みが好きなんですよ」と亀田さん。「週末の息抜きには宅飲みがいちばん」
そうでもないと思うけど。
「奇遇ですね。自分はほぼ毎週末宅飲みしてます」
「それだけ疲れが溜まってらっしゃるんですね」と亀田さん。
聖母マリアにでもなったつもりか、寛大なほほ笑みを浮かべている。
「先生はがんばっていますもん。バレてますよ」
ハハハッと、こりゃまいったと頭をかきそうなデレデレ顔の先生を見ていると、吐き気がしてきた。
入りこむチャンスがない。わたしはまだ未成年で、お酒は飲めないし、飲もうとさえ思わない。それに、亀田さんのようなお高い口調も真似できない。
「あ、斎藤さん」
グループの中の一人、小太りのおばさんが手招きした。
「ヤングチームはここよ」
ヤングだって? わたしは爆笑しないように唇にぎゅっと力を入れた。
おばさんの隣に立つ。
「こんにちは」
