「たいしてかっこよくないですよね」
わたしは言った。事実、先生は別に、かっこいいとまではいかない。
「あれかな、講師だから憧れる、とか?」
「皆さん、いい歳ですのにね」
まずい、いい歳なのは福留さんもだ。
「二十代までが限度ですよ」
フォローにもなっていないことを言っているあいだに、掃除が終わった。
みんながバッグに荷物をつめこむのを見てわたしもそうした。
「お別れ会は一時間後にやりますので、時間厳守で行動してくださいね」
あいかわらず偉そうに人王立ちしている横川のおっさんが言った。
この一時間のあいだに着替えて、化粧直しまでできるかな……。登下校に二十分はかかるし、服に悩む時間も必要だ。
生徒の五人ほどはそのまま残り、残りのみんなはスーツを着替えようと教室を出て行った。グズグズしちゃいられない。わたしもとびきりおしゃれな服に着替えなきゃ。
遠まきに美容室を覗くと、健一さんはお客さんの髪を切っていて、忙しそうにしていた。
わたしも忙しい。顔と服装と髪を整えなきゃ。
