セロリとスクランブルした卵の夕飯を済ませてから、入浴をしてベッドに入った。携帯とレンタルDVDを交互に見ながら寝落ち。こんな毎日も今日までだ。味気なく、恐ろしく、つまらない退屈な日常が終わる。わたしは自由! 自由よーー!
午前八時十八分。
いっけない! これは本当のホントにまずい。着替えなきゃ。あーう、何着て行こう……どうして前日に着替えを用意しておかなかったんだろう? あ、そうだわ。今日はスーツ着用の日だ。
物干し竿にかかっている、しわくちゃな雑巾のようなものを見つけて絶句した。何故だか、シャツがシワシワのクチャクチャになっている。干しぶどうにも劣らぬシワ具合。
どうしようどうしようどうしよう⁉
ああ、もう二十五分になる。うちにアイロンなんてものは無い。あるのはヘアアイロンのみ。どうしたらいいの、ジャケットの下にはシャツが基本でしょ? ああもう、だから学校なんか嫌い。どうして最終日だけスーツ着用なのよ?
わたしは着替えを後回しにして、化粧ポーチを取り出した。せめて下地とマスカラだけはしなくちゃ。あ、顔を洗ってない。でももうそんな時間はない。あ、待って、歯を磨かなきゃ。ダメ、そんな時間はもっとない。
