「斎藤さんって、まだ十代だっけ?」
 代わりに声をかけてくれたのは、驚いたことに亀田さんだ。わたしに笑顔を見せている。あの亀田さんが……。
「あれ……もう二十歳だった?」
「あ、はい。十九歳です」
 なんだか信じられなくて、曖昧な笑顔になった。
「あと三ヶ月で二十歳になります」
「若ーい! 偉いね、その若さで勉強なんて。わたしなんか、十九の頃は遊んでばっかりだった」
 うふふっと笑う亀田さんは、穏やかで、上品だった。わたしには無し得ない技。ううん、技なんかじゃなくて、この人自身がそういう人で、自然体なんだ。
 先生は、ただの豚じゃなかったってこと。少なくとも、見る目だけはあったのね。わたしを選ばない時点で、とっくに証明されてたんだ。

 明日は閉会式。スーツ着用で午後の二時に解散する。やっと、この馬鹿げた集まりや勉強から解放されるんだ。終了したらすぐに自分へのご褒美を与えよう。スイーツバイキングに一人で参加しよう。体型維持なんて、もうどうだっていい。