「十九歳です。もうすぐ二十歳になります」
 きっと歳上であろうイケメンが、年下嫌いだといけないから、今年成人だということを強調した。ロリコンじゃないことを願いながら——。
「若いなぁ。俺は二十六歳。おじさんだな」
「そんなことないですよ」
「いやぁ……十九歳かぁ、まだまだこれからだね」
 イケメンは美容室をチラッと見た。
 オシャレで綺麗な女がこっちを見てる。
「あー……っと、そろそろ戻らないと」
「そうですね。じゃあ、えっと……お仕事頑張ってください」
 あーあ、夕暮れとともにさようなら。
「うん、ありがとう」
 イケメンは何か言いたげにわたしを見下ろした。
 そして間をおいて、「よかったら、メアド教えてくれない?」と言った。

 ひゃっほーい! メールアドレス聞かれちゃった! それもあんなに輝かしいイケメンに‼︎ 勇太といい美容師といい、イケメン二人にアタックされるなんて、モテ期到来かもしれない。

 わたしはスキップしながら家に帰り、バッグを玄関に放り投げてベッドに飛び乗った。メアドを交換してから十五分も経ってる。そろそろメールが来るかも。