そうこうしてるうちに、道路脇に車が停車した。到着したらしい。
「次はいつ会える?」
勇太がすがるような目でたずねた。
「んー……」
わたしは学校のカレンダーを頭に思い浮かべた。
「三日連休の時かな」
「じゃあ土曜日」
「オッケー。んじゃあ……」
シートベルトを外してバッグを持つと、勇太が両腕を広げた。わたしはハグをして、一呼吸置いて離れた。
「じゃあ土曜日にね」
車を降りた。
「うん。またね」
勇太は窓も開けず、手も振らずに車を発進させた。
へえ、つめたいじゃない。
でもそういう人なのかも。それか、わたしの時間を気にしてか。帰る時に縋り付かないで潔く立ち去るのは、男らしいと思っておこう。
くたびれたアパートに帰宅して、何かを食べたくなる前にバスルームに直行した。
シャワーを浴びながら、お腹の余分な肉も流れていかないかと、下へ下へと押してみる。効果なし。
わたしはアップルパイの香りがする湯船に浸かった。お風呂でくつろぎながらの考え事は、ポジティブになれると誰かに聞いたことがある。