「言ったじゃん。夢が面白いから。話すのが楽しいから」
「ああ、そう。それはどうもありがとう」
こんな会話が続くなら、さっさと帰りたい。それに、まだ寒いっていうのに、なんで公園なんかを散歩しなきゃならないの?
「怒った?」
勇太が隣に立った。
「別に」
気なんてもう使わない。わたしはどうせ自分勝手な自己中女。そのレッテルは剥がれないんだし。
「なにか飲む?」
「いらない」
「帰りたい?」
「うん。てか、そろそろ時間だし」
「一人暮らしじゃなかったっけ?」
「そうだけど、今日は親が家に来るの」
そんなの嘘だけど。
「そっか」
無言で駐車場にもどった。待ち合わせした場所まで向かう車内。
運転をする勇太の横顔をチラリと見て、わたしは急に、自分がひどく最低な女に思えてきた。こんなにかっこよくて、仕事もしっかりとこなしている人が、わたしなんかと付き合おうって言っているのに、底辺のわたしは断ってる。
