ただ愛されたいだけなのに



「デートを二、三回してからってこと?」
「うん」
「わかった」
 勇太の機嫌回復。またもや抱きついてくる。彼はそのまま頭を下げて、わたしの膝の上で止まった。
 絶対にわかってない。わたしの言ったことは、こういうハグとかも含めてだったんだけど。
 カラオケに三時間居座ってから、電話で約束していた公園に向かった。勇太の車の運転は、すごく安定している。
「俺ってかっこいい?」
 勇太は、この質問が、どこかおかしいことに気づいていないようで、平然と手を繋いできた。
「えっと……うん、かっこいいよ」
「じゃあなんで付き合ってくれないの……?」
「だからさっきも言ったじゃん」
「ごめん。俺、自分から告白とかしたことないから……。そうだよね、俺なんかとは付き合いたくないよね」
 繋いでいた手が離れた。わたしはそのまま三歩進んで、勇太が立ち止まっていることに気がついた。
「じゃあぎゃくに、なんでわたしなの? かわいくもないし、今は職業訓練なんかに通ってる無職なんだよ。勇太のスペックなら、もっと他にいるでしょ」