ただ愛されたいだけなのに



「ねえ、付き合おうよ」
 勇太の声は真剣だ。
「アハハ。ご冗談を」
 わたしは勇太から離れた。
「今日初めて会ったばっかりだよ?」

「電話で話したじゃん」
「二回だけね」
「そんな、好きになるのに時間なんか関係ないと思う!」
 勇太が必死な声を出すものだから、わたしは思わず笑ってしまった。
「俺、夢と話すのが楽しくて、だから好きになって付き合いたいと思ったの——ってなんで笑うの?」
 二人で笑い合い、そしてまた勇太が抱きつく。
「俺のどこが不満?」
 不満なんてない。顔よし、年齢よし、職業よし、スタイルよし。
「別に不満はないよ」
「じゃあなんで? 俺がキモいから?」
「いやいや。だってまだ会ったの今日が初めてだよ?」
 わたしはバカと話してるみたいに笑った。実際、似たようなところだ。
「そんなすぐに付き合おうとか、軽すぎて嫌」
「え……」
 勇太はショックを受けた顔で離れた。
「俺軽いと思われたんだ……。ごめんね……」
 うわぁ、すっごく不安定。神は二物を与えないってその通りかも。性格に難あり。だけどかわいそうと思ってしまうのが、わたしみたいなダメ女なんだ。わたしは勇太の背中をトントンと優しく叩きながら慰めた。
「もっと、遊んでからにしようよ」