「俺は気にしないのに……。じゃあDVD借りてうちで観ようよ」
「なんでいきなり家なの?」
 わたしは笑いながら言った。
「じゃあ公園に行こう。散歩。それならいいよ」

「まじで、ほんとに? すっげえ嬉しい!」
 無邪気に喜ぶ勇太に、思わず顔が緩んだ。
「いつ? いつ遊ぶの?」
「うーん。明後日から春休みに入るから——」
 わたしはキッチンにかけているカレンダーを見た。
「土曜日は?」
「わかった。めっちゃ楽しみ! あー、夢に会えるんだぁ。てか会ってから俺の見た目に引いたりしないでね⁈」
 二十四歳とは思えないテンションで喜ぶ勇太。
「それこっちのセリフ。わたし、勇太の写真見たことないしー、しかもプリクラは詐欺なんだから」
「えー、めっちゃかわいいよ、夢。俺この顔好き」
「ないから」
 こんなこと言われたら、会うのが怖くなってくる。プリクラなんて、詐欺もいいところ。
「やめて。すっごいブスが来ると思っておいて。デブのブス」

「そんなことないよ! 夢は太ってないし、かわいいじゃん」
「やめてよ、ほんとに」

 通話をしながら見ていた鏡を、通話が終了してからじっくりと見た。頭に整形の文字が浮かぶ。もしも今宝くじに当選したら、目と鼻と口と顎をいじくるのに……。