「お前、立て。こっちに来るんだ」

 どうすることもできず意識が遠のきかけた頃、路地で自分を捕まえた男が現れた。レネは自分を騙した男を軽蔑した目で見据える。

「……ボクをどうするつもり?」
「今にわかるさ。ほら、とっとと立て」

 彼は鎖を引っ張られ無理矢理立たされる。鎖が腕に食い込んで痛い。

「お兄さんのこと、絶対に許さないから」

 鋭い眼差しを崩さないまま、レネは平然と言い放った。