レネを探しに出たミーナとアデライド。よく行く店や心当たりのある場所を探し回っても見つからない。途方にくれて通りを歩いているときだ。

「あれ、レネのリボン!」

 ミーナが瑠璃色のリボンを見つけた。あれだけ得意気に見せられたから、見間違いようがない。拾い上げ砂を払う。

「間違いない、私がレネに買ったものだ」

 アデライドも肯定する。

 ここにリボンが落ちていたということは、ここでリボンがほどけるような何かがあったということだ。何があったかまでは分からないが、安全な状況で急にリボンがほどけて彼が拾わずに去るということは殆どないだろう。

 そしてリボンは人通りのない路地裏の入口で落ちていた。市街地で起こる事件の多くはこういった人のいない路地が現場となっている。

 二人は手分けしてリボンが落ちていた場所や路地裏を探すが、レネは見つからなかった。