「あ、もうこんな時間だ。そろそろ帰んないと。僕、今日用事があるんだ」 スマホの画面にある時計を見て、彼は言った。 「あっ、そうだったの!?」 なんだか悪いことをしちゃったな。 今日は用事があるのも関わらず、こんなところで立ち止まらせて。 「うん。じゃあ、小園さん気をつけてね」 「うん! またね、仙谷くん!」 少しほっとしたと同時に、心にぽっかりと穴ができたような気分のまま、あたしは自分の家へと歩いた。