「これ、花蓮にプレゼントしたくて」



歩が渡したのは、3色のチューリップの花束だった。
赤とピンク。
そして、真ん中のチューリップだけが紫色をしている。



「知ってる? 紫のチューリップの花言葉。『永遠の愛』っていうんだよ」



そして、赤いチューリップの花言葉が『真実の愛』。
ピンクのチューリップの花言葉が、『愛の芽生え』。



「紫のチューリップは、花蓮だね」



「え?」



「僕が永遠に愛し続けたいのは花蓮。花蓮の代わりは、未来にも過去にもいないよ。花蓮は世界でたった1人の、僕が愛し続けたい人だから」



「歩……」



チューリップ全般の花言葉が、『思いやり』なんだよね。
こんなに思いやりがある人、未来にも過去にもいない。



「僕が生まれてはじめて作った花束、どうしても花蓮にあげたくて」



「ありがとう、すごく綺麗……」



「1本だと、『あなたが運命の人』っていう意味で。花蓮は、僕のたった1人の運命の人だから」



「言ってたね、あの時に」



そう、約10年前のクリスマス。
1回も忘れたことがないよ。



「12本のチューリップはね、今から僕が言う言葉なの。僕の本心と同じだったから、どうしてもこれをプレゼントしたくて」



「嬉しい……。それで、なあに?」



私が聞くと、歩は間を開けた。