もう長くはない。
それなら最後に残すものは、
一つだけ…




「おい、ちゃんと着いてこい」

学校の校門を出た途端に蓮にバイクに乗せられ、見たことある倉庫に着いた。

見たことあるのは 下見のせい。

実は族を結成させる前に自分だけで3つの族をまわっていた。

変装は得意だったし、もし見つかっても個人情報の保護は完璧だったから バレるようなことは無い。

下見しといて自分の族を結成させるとき下に指示が出せるように情報を持っておこうと思ったのだ。


そんなことを考えているうちに

いつの間にか蓮に姫抱きにされていた。


「え、なんで?こんな格好してんの?」


「お前がバイクに跨ったまんま動かねぇからこうするしかねぇだろ」


当たり前みたいな顔されても……


「下ろして」


「無理」


そう言った蓮は倉庫に足を踏み入れた。



ザワっとしたあとにザッと音を立ててこちらを向く下っ端達

「総長!お疲れ様です!!」


そう言ってバッと頭を下げた。


私は圧倒されたままだったけど、蓮は「おう」それだけ言ってさっさと上に上がっていく。


上に着くと私は下ろされた。


「そうちょー!」

「どうした?」

「ん?いや、煌鬼が女って噂が広まってるんっすよ!」

「女?」


蓮達の会話に肩が上がるのが分かった。

なんでバレた?

私のシステムはそう簡単にハッキングされないはず。だとしたら…舞蝶?

バレたのだとしたら私にたどり着くのも時間の問題。



「女らしいんっすよ」

「そんなわけないだろ?あの舞蝶だぞ?」

「まぁ、そうっすね!勘違いっした!」



あれ、気づかれてない?

「はぁ」

安堵のため息が漏れる。

まじで良かった、でも、志麻にシステム強化頼んどかないとな。