「いい?出発するぞ?」
『うん。いいよ。ありがとう。』


シートベルトをカチャッと締めながら答える。
エンジンをかける音がして、車は進んでいった。


『そういえば、車で送ってもらうのって初めてだね〜。』
「あ〜、確かに。家出ていく時間全然違うかったからな〜。」
『なんかうきうきする♪』
「いや、その席は何回も乗ってるやろ。」
『う〜ん。それがな〜んか違うんだよね〜。』


そう言いながら彼の方を見る。
あれっ……?
彼ってこんなにカッコよかったっけ?
運転をする彼の横顔はいつもとなんか違った。
よく分からないけれどその横顔にしばらく見入ってしまった。


「ん?どうしたの?」


それに気づいた彼。
急いで無くなりかけていた思考回路を取り戻す。


「何何?もしかして俺に見とれてた?」
『バッ……!そ、そんなことはない!』
「え〜?いいよいいよ、見とれて。俺、カッコいいもんね〜。」
『自分で言った!』
「ははは」


こんな少しの会話でもすっごく幸せで、このまま時間が止まってしまえばいいのにと思う。
これからも、ずっとこんな笑いあえる会話をしていたいな。