「また連れてきてやるから。だから、行きたいときは俺に言えよ。わかったか?」
「うん、わかった」
そして彼の口から出てきたのは、約束の言葉。
我ながら、とんでもなく単純だと思った。
飛鳥くんに頭を撫でられただけなのに、飛鳥くんがこのお店のことを教えてくれなかったことなんてどうでもいいとさえ思えてくる。
それに、また連れてきてもらえるらしいし。
「……あれ、完全に甘やかされて丸め込まれてるだけだよね」
「飛鳥の小学校からの努力の成果だよ、あれは」
そんな私たちを見て凛ちゃんと掘田くんが喋っている気がしたけれど、飛鳥くんに頭を撫でられていたこともあって聞こえなかった。
それから私たちは、大きな木のテーブルを囲むように椅子に座った。
いつのまにかチョコレート色のエプロンを身につけていた菊川くんが、テーブルにメニューを置いてくれる。



