飛鳥くんはクールなんかじゃない




名前をやっと思い出した時点でもうすっかり内藤くんはどこかへ行ってしまっていて、そんな私を見て凛ちゃんはクスクス笑っていた。



「花帆、名前忘れてたでしょ?」

「だ、だって〜っ」

「もう7月だよ?いい加減クラスの男子の名前覚えてあげなって」



さも楽しそうに、凛ちゃんはそう言う。


そんなこと言われても、覚えられないんだから仕方ない。



もう少し接点があればいいけれど、部活も委員会もやってない私が、男の子と会話する機会なんて皆無。


昼休みも基本凛ちゃんや他の女の子たちと過ごすから、私の学校生活に男の子の知り合いは飛鳥くんと掘田くんと菊川くんの3人だけだ。




「まぁ、ポジティブに言えば、男の子と会話しなくても生きていけるし?」

「や〜。本当、花帆はよく育てられてるわ」


なにがそんなに楽しいのかはわからなかったけれど、私の言動にずっとニコニコしてる凛ちゃんはなんだか可愛かった。