「ねぇ佐藤ちゃん。佐藤ちゃんの前での飛鳥ってどんな……─────あ」



必死に笑いをこらえながら、掘田くんは私になにかを聞こうとしていた。



けど、その言葉が何故か途中で止まって、代わりに後ろから……。





「なにしてんの」


とっても嫌な予感……じゃなくて、不機嫌な声が。



目の前の掘田くんは私の方を見ているはずなのに、目線は私の身長よりも上を向いている。




……うん、わかるよ。わかるんだけどね。……これ、振り向かない方がいいと思うんだよ。私の本能がそう言ってるの。


そんな言い訳を頭の中で並べたところで、当然その声の主に通用するわけなんてなく。




「花帆」



私の頭には、その人の大きな手がポンと置かれた。