「おいで、花帆」 「えっ、ちょ……っ」 その荷物を取り上げると、空いた方の手で花帆の手を引いた。 ────バタン。 資料室に引き込んで、その場に荷物を置く。 「花帆、こっち向いて」 「っ」 そっと顔を覗き込むと、悔しそうに口を結ぶ花帆を見た。 「かーほ」 「……いいの?」 「ん?」 遠慮がちに出たその言葉に、あぁ、と思う。 不安にさせてしまった彼女を、ギュッと抱きしめた。