「渡くん、私と付き合わない?」 ……案の定、わざわざ資料室にまで連れ出されて言われたのは思っていたとおりの内容だった。 ただいつもと違うのは、相手の態度。こんなに上からなのは初めてだ。 けど。 「すみません。無理です」 相手が誰であれ、出す答えは一つ。他の人だなんてはっきり言って眼中にない。 「やっぱり、理由は噂の幼なじみちゃん?」 「は?」 きちんと答えたはずなのに、その先輩はわかっていたかのように花帆の話を持ち出してきた。 思わず目が鋭くなった俺に、彼女は「やっぱり」とつぶやく。