「なんでって……、花帆来てるし。……いや、なんでそうなるのよ」



凛ちゃんの口から私の名前が出たことにどきりとする。


私も知ってる人……?




「凛ちゃん……?」


ダメかとは思ったけれど、名前が出た以上は気になる。


ゆっくりと部屋の扉を開けて、凛ちゃんの名前を呼んだ。



「あ、ごめんね花帆。うるさかった?」

「ううん。ごめんね、私が勝手に話聞いちゃって……。話も終わったし、私帰るよ?」


誰かと約束なら、私はお邪魔だ。勝手に押しかけたのはこっちだし。


そう思ってバッグに荷物をしまおうとすると、凛ちゃんに「待って」と呼び止められた。