飛鳥くんはクールなんかじゃない




「べ、べつにっ」

「わかりやすいのは佐藤さんも同じだね」



真っ直ぐに見つめてくるその瞳は、やっぱりすべてを見透かしているようで。



「佐藤さん、一華のことは気にしなくていいんだよ」

「……っ!なんで」

「これでも双子だからね。一華の気持ちには気付いてるつもり」



苦笑する菊川くんに、私は何も言えなかった。




たぶん菊川くんは、私を励まそうとしてくれている。


けれど彼が一華ちゃんのお兄さんである以上、甘えるわけにはいかないよ。




「これ、サービスね」


言葉を発さない私の気持ちにも、きっと菊川くんは気づいているんだろう。


そっと目の前には、クッキー2枚が入った小皿が置かれた。「僕の力作だよ」との言葉付きで。