飛鳥くんはクールなんかじゃない




「主に菊川くんと掘田くんのおかげだけどね」

「え、僕ら?」



おかげというか、せいというか。



だって、2人と一緒にいるようになってから、飛鳥くんは目立つ人になったんだから。


無口だったから、中学までは隠れファンがいる程度だったのに。


明るくて周りとよくコンタクトを取るタイプの2人と一緒にいたら、それは周りもチャンスって思って騒いじゃうに決まってる。




「じゃあ、中に入って飛鳥は自分のって言えばいいよ。はい、どーぞ」

「ちょ、そういうことじゃ……っ」


カランカランと軽快な音を立てて、菊川くんはお店の扉を開けた。



まだ入る覚悟が決まってないとか、そんなことを言う余裕なんて全くなくて。



「……花帆?」


扉を開けると目の前には、チョコレート色のエプロンをつけた飛鳥くんがいた。