「……あれ?佐藤さん?」
じっくりとアクセサリーを眺めていると、知っている声に名前を呼ばれた。
振り向くとそこには、買い物袋を持っている菊川くんの姿が。
「あ、やっぱり佐藤さんだ。なんかいつもと印象違うから一瞬わからなかったよ」
私の顔を見てにこりと笑う菊川くんは、今日もさわやかなお兄さんって感じ。
「菊川くんこそ、なんでここに?」
「ん?僕は店の買い出しの帰り。ここの雑貨が好きでね。寄り道だよ、寄り道」
「内緒ね」と人差し指を口元に当てて菊川くんは、きっと何度も寄り道で来ている常習犯なんだろう。
ニッといたずらに笑っているのがその証拠。
「佐藤さんは?誰かと約束?」
「ううん、お散歩」
「え、1人で?」
明らかに私しかいないのに、何故か驚く菊川くん。



