好き、飛鳥くん。


のどまで出かかった言葉を、グッと飲み込んだ。



その言葉を言ってしまったら、もういまの関係に戻れなくなるかもしれない。そんなのは絶対に嫌だ。


ドキドキが鳴り止まないくらいになっていても、そんなことをどこか冷静に考えている自分もいた。



「花帆ーっ。飛鳥くーん。ご飯できたわよ〜」


下からお母さんの声が聞こえて、ハッとした。



ゆっくりと体が離れていって、なんだか急に寂しくなってしまう。



「バカ。そんな目で見るな」


ベッドを降りた飛鳥くんはもういつもの飛鳥くんに戻っていたけれど、私の頭を撫でるその手はやっぱり優しかった。



落ち着いたら降りてくればいいと言ってくれた飛鳥くんは、先に部屋を出て行った。



「……熱い」


頬を触ると、さっきまでのことをまた思い出してしまう。鏡を見なくても、自分の顔が真っ赤になっていることくらい簡単に想像できた。