次の日
薔薇の花園へ行くと、見知らぬ男の人がいた。
私の足音に気がついたのか、彼はゆっくりと振り向いた。

「…こ、こんにちは。あの、失礼ですがお客様ですか?」
「お客様…? 何を言っているんだ?」
「え…?」

黒い服を身に纏った彼は、透き通るように綺麗な瞳でまっすぐ私を見つめていた。

「……メ、ロ?」
「正解」
「嘘…」
「本当だって。自由になりたいんだろ?」
「うん」
「お前の願いを叶えるために、俺はこの姿になった。まず、何がしたい?」
「えっと…自由に街を歩いてみたい」
「よし、ついて来い」

メロが人間の姿になった、なんて信じられない。
でも、楽しい冒険になる気がする。

私はメロと一緒に家を抜け出して、街まで歩いた。
メロの知っている近道を通って。