Breath

その日はすごく寒くて珍しく雪がちらついてた。

そのせいか、何人かのお客さんからキャンセルがあったから休憩室でコ－ヒ－を飲んでた。

すると最近入ってきたアシスタントの杏奈ちゃんが

「チ－フ、新規のお客様がカットお願いしたいって言われてます。早乙女チ－フご指名です。」

「予約ないよね？」

「はい、でも今お願いしたいって言われてます。」

「ん…行きます…」

キャンセルもあったしまぁいいかと休憩室を出た。

予約なしって混んでたら無理だからねとブツクサ言いながら店内に入った。

「こちらの方です」

と杏奈ちゃんが言った。

後姿を見て、男の人？珍しいなと思いながら近づいた。

一応、営業スマイルで鏡越しに

「お待たせし…」

まで言って言葉に詰まった。

「……」

「久しぶりだね。５年振り？」

「…なんで？」

「元気だった？」

「…なんで？」

「なんで？髪伸びたから？」

「いや、そうじゃなくて…」

「とりあえずカットお願いできますか？チ－フさん」

「あ、はい」

１時間後終了

「ありがとうございました。」

「今日の色んななんで？にお答えしたいのですが、終わってから時間ありますか？」

「あ、はい…」