はっきり言い切られて天はわずかに目を見開く。

そんな大それたことを考えていたなんて、思いもしなかった。

素直な感想がぽろりと口に出る。

「おまえ……かっこいいな」

そうだ。格好いい。

彼女も海も、自分の両足で立って、自分の望む未来を見据えて、そのために歩いている。

天はまだ、スタート地点にも立てていない。

「そうか。……一番のアイドルか」

無言で見返す彼女に向かって破顔した。

「おまえなら本気で実現しそうだよ」

「……そうなったら嬉しい」

「俺も負けてられねーな」

将来のことはこれから考えるとして、まずは目先の中間テストだ。

天は愛に手を振って、天野家を後にした。