動物園ロケの翌日である。

登校した愛は昇降口で友人の姿を認め駆け寄った。

「祐実、おはよう」

「おはよう」

鎖骨ほどまでの黒髪を揺らし、足立祐実は微笑んだ。

幼なじみで付き合いが長い。愛が芸能活動をしていることや、天野家の諸々を把握している。

優秀で頼れる友人。

「ちょっとお願いがあるんだけど、聞いてくれる?」

「いいよ。どうぞ」

「料理を教えてほしい」

「ほう。……仕事?」

愛は無言で頷いた。彼女の察しがいいのは昔から。もはや驚かない。