動物園内をひたすら歩き回って、今日は疲れた。

ベッドに身を投げると、ガサッと音がする。

音の正体のビニール袋から愛はぬいぐるみを取り出した。

真っ黒な瞳としばし見つめ合ってみる。

どちらの表情も、数分間変化なかった(一方は生きていないので当然だが)。

愛はハムスターのほっぺたをつまむ。

むにむにむに。

お腹の辺りを揉む。

もみもみもみ。

「……ふ」

小さく息を漏らしてから、もう一度見つめ合う。

「……テン」

名前を与えられたハムスターのぬいぐるみは、本日から愛のベッドが寝床となった。