仕事の目処が立ったところで、天と愛を待っていたのは学業の方の難題だった。

期末テストまで一週間を切っていた。

「やばいやばいやばい」

「焦らない。君たちがまずするべきは、落ち着くこと」

弁当そっちのけで参考書を開く天とは対照的に、優雅な箸使いでおかずを口に運ぶ足立だ。天は反射的に睨んだ。

そりゃおまえくらい頭が良けりゃ余裕だろうが──と湧き上がる反発心。しかし至極冷静な足立の顔を見ていると、落ち着かなくては、と思うから不思議だ。

深呼吸してから天は参考書を閉じた。とりあえず飯を食う。課題はそれからやる。

場所は校舎の外れにある特別教室である。最近、学校に来る日は、足立、天、愛のメンツで昼食を摂るようになった。

その愛はといえば、彼女だって天とそう変わりない学力で仕事のスケジュールもほぼ一緒、やばい状況に相違ないはずなのに、さっきから黙々とパンを咀嚼している。