〜17年前〜
「ごめんね、ほんとにごめんね…っ」
ある病院の大きな病室のベッドの上。
一人の女性が両手で顔を覆いながら泣き崩れていた。
「菜花(なのは)……」
もう一人、彼女に寄り添うように彼女の背中を撫でている男性も泣いてはいないもののどこか苦しげな表情をしながら、先ほど数人の男女が出て行った扉を静かに見つめている。
何度も何度も二人で、それから“みんな”も交えて話し合った結果がこれなのだが、それでも後悔が残らないと言ったら嘘になるだろう。
けれど、彼らが“極道”である以上、“色々な意味”で仕方のない決断であったとしか言えない。
……もし、もしも。
彼らが極道でなかったとしたら。
きっと今のような道は選ばなかったに違いない。