キミ色に染めて



ガタガタッと机をわたしの机とぴったりくっつけてまっすぐ前を見据えている。



「…ありがとう。」



「…べつに。こーゆーときは助け合いでしょ。
だから数学教えてね。」



なんて言ってこちらをチラリと見て微笑む。



そして数学の時間が始まった。



きっとわたしが教えなくても、須王くんはできると思う。



だけどこれはきっと、わたしが申し訳なく思わないようにの優しさ、だ。



(…ありがとう、ほんとに)



心の中でそっと、もう一度言って授業に集中する。



さらさらっと書いていく須王くんの字はめちゃめちゃキレイだった。



そりゃもう書道でもやってたんですかレベル。


なんだか恥ずかしいな。



机がぴったりくっついてるから、見ようと思えばわたしの字だって見える。



いやいや、こんなキレイな字の方にわたしの字なんてお見せできない!



そっと須王くんから距離を取る。



「…ちょっと。離れたら見えないでしょ。」



ぐいっと腕を引っ張られてさっきよりも近くなった。



「いや、近い近い近い。字見られるの恥ずかしいから!」


授業中なので一応声を抑えているが、それでもわたしの焦り具合が伝わると思う。



「(そっち…?)わかった見ないから、ちゃんとこっちに居て。」



「…ほんとに見ないでよ?」



「見ない見ない。」



「…わかった。」