課長が、ビールを飲みながらそう呟いた。
えっ?義足でもいいって……どういうこと?

「えっ?どうしてですか?」

「こうやって……仲間に出会えた。
義足にならなかったら出会わなかったかも知れない。
今だとこのメンバーで飲むのが当たり前になっている。
それにお前も……。
そこまで俺に興味を持たなかっただろう?」

こちらを見ながら言ってきた。
確かに……そうだ。皆は、それぞれ
障害を持ち同じ目標のために集まって出会った。
普通に生活をしていたら出会わなかったかも知れない。
それに……私だって。気づかなかった。

課長が義足だとか、いろんな苦労を知り
惹かれていった。ただの鬼課長だけなら
きっと……知ろうとも思わなかっただろう。
そう考えると何とも不思議なことだろうか。
まるで運命に導かれているようだった。

「出会いって……不思議ですね」

何処で、どんな出会いがあるか分からない。
あの時は、こんな風に思えなかった。
これも1つの幸せなのだろう。

「あぁ、そうだな」

課長をクスッと笑うと後ろのメンバーの様子を眺めてた。
そして翌日。陸上競技2日目。
準決勝と決勝の日を迎えた。
私は、スポーツドリンクの用意していたため遅れていた。

「急がなくちゃあ!!
課長や皆の競技が始まっちゃう」

慌てて戻ろうとする。だが、うっかり
すれ違いざまに男性とぶつかってしまった。
危うく尻餅をつきそうになったが
その男性に受け止めてもらい尻餅をつかずに済んだ。

「sorry。怪我はないかい?レディ」

「あ、すみません。慌てて……」

慌てて体勢を戻して頭を下げた。うん……?英語?
頭を上げてみると金髪でサングラスをかけた
外国人の男性だった。
ど、どうしよう……私、英語が全然話せないわ!?
えっと……この場合は、どう言ったらいいのかしら?