ちょっと……課長!?
あなたは、それでいいのですか?

結局。まともに説得しても取り合ってもらえず
帰ることになってしまった。 
結婚の承諾すら、もらえないままだった。
悔しいし腹が立つ……。
帰り道。車で帰るときに納得のいかない私は、
課長に想いをぶつけた。

「亮平さん。何であんな風にアッサリと
引き下がったのですか!?
あれでは、結婚の承諾をもらえないどころか
言われたい放題ではないですか!!」

いつもの課長ならガツンと言ってくれるのに。
それでいいの?私と結婚が出来なくても……。
しゅんと落ち込みそうになった。

「結婚……諦めるのですか……?」

「はぁっ?誰が諦めるって言った」

えっ?違うの?でも黙っていて
まるで諦めたようだったし……。

「でも、あんな風に反対をされているのに
何も言わないではないですか!?
それって結婚を諦めるってことではないですか?」

こんなの課長らしくない……。
すると課長は、ハァッとため息を吐いて
チラッと私を見た。

「俺達は、喧嘩をしに行ったのではないだろ?
承諾もらう前に喧嘩腰になっていたら
認めてもらえるのも、もらえなくなるぞ。
それに反対されるなんて想定内だ。
障害を独特な偏見やよく思わない奴は、ゴロゴロと居る。
義足だって……まだ聞いたことがあっても
どのようなものか認知されていないことが
ほとんどだ。だからこそ誰かが広めないとならない」

確かにそうだけど……。
でも、どういうことだろうか?
意味が分からずに私は、首を傾げた。

「……どういう意味ですか?」

「フッ……だからこそ。色々と準備が必要なんだ。
頭で分からない奴は、体験したり間近で見ることで
理解をしてもらえばいい。
ちょっと、寄り道をするぞ」

課長は、それだけ言うと車を走らせた。
えっ?ちょっと課長!?