慌てて謝るが、いや待って下さい。
私……何で課長に叱られないとダメなの?
恋人同士とかなら怒られる理由も分かる。
しかし私と課長は、ただの部下と上司だ。

会社は、社内恋愛禁止でもないし
上司が部下の恋愛に口を挟むことなんて普通ない。
なのにどうして
課長は、そんなに怒っているの!?

実際、困っていたし連れ出してくれたのは、
嬉しかったけど
怒られる言動が分からないため戸惑ってしまった。
すると課長は、何も言わずに私を抱き締めてきた。

えっ……えぇっ!?
この人の突然の行動に頭の中がパニックになる。
思わない事をされて心臓がドキドキと高鳴った。
そして硬直をしてしまう。

「か、課長……?」

すると課長は、私から離れると真っ直ぐ私を見てきた。
ジッと見つめてくる課長の表情は、いつもの
怖い目付きと違い何だかドキッとした。
すると私の手を握り歩き出した。

「ついでだ。このまま夕飯に付き合え」

か、課長?えっ……えぇっ!?
思わない行動と食事の誘いに驚いた。
しかも手を繋がれてしまうし。
強引な態度に正直戸惑ってしまうが内心
凄く嬉しかった。まるで恋人同士のようだ。
私は、課長にラーメ屋に連れて行ってもらった。
初めて入るお店だったが結構混んでいた。

「女性を連れて行くには、不向きかも知れないが
ここのラーメンは、実に旨い。
二階堂にも食べさせてやりたくてな」

そう言いながら案内してくれた。
まぁ確かにラーメン屋などは、ニンニク臭いとかで
女性が嫌がる場合もあるが私は、全然平気だ。

むしろ課長に行きつけのお店を教えてくれたのが
嬉しかった。
ここが課長の行きつけのお店なんだ……。

「へぇ~結構混んでますね。
私ラーメン好きなので嬉しいです」

「そうか。それなら良かった。
ほらメニュー。何にするんだ?お勧めは、
とんこつ醤油ラーメンだな」

席に座りながら課長が何をするか聞いてきた。
どうしようかな。
メニュー表を受け取ると見てみる。
いろんな種類のラーメンがあった。
とんこつ醤油も味噌も美味しそうだなぁ……。