「ねぇねぇ、二階堂さんだっけ?
二階堂さんって彼氏居るの?」

「えっ?居ませんけど……」

 何んで急に彼氏のことを聞いてくるのかしら?
仕事にまったく関係ないのに。
 私は、ちょっと失礼な人だなと思った。
大体彼氏なんて居たことがない。

 部活一本で過ごしてきたから、彼氏とか恋愛とか後回しにしてきた。
 こんなことになるのなら、彼氏でも作っておくべきだった。
 そうしたら、もう少しまともな人生になっていたのかもしれないのに……。

「そうなんだ~私と同じだね。
 私は、紺野亜梨沙。よろしくね。
ねぇ今度。良かったら一緒に合コンに行かない?
 人数が足りないのよねぇ~」

 すると急に、この人は、合コンに誘ってくるではないか。
 まさか合コンの誘いをしてくるなんて夢にも思わなかった。
 しかも苦手そうな子だし……。

「えっ?いや、それは……」

 胸元に大きく開いた服にミニスカート。
メイクもネイルもバッチリで女子力の塊みたいな感じだ。
 地味でスポーツ馬鹿だった私とは、話が合わなさそうだな。
彼女に対して私は、そんな印象を持った。
 無難な断り方はないかしら。どうやって断ろうと考えていると

「おい、そこ。ベラベラと喋ってるな!!」

 それを聞いていた課長は、私達に怒鳴ってきた。
ビクッと驚いて肩が震える。
 私達は、慌てて謝った。ひぇぇっ~怖い。
早速怒られてしまったわ。

「す、すみません……」

「何あれ、怖いし……」

 紺野さんが怪訝そうに言ってきた。
ごもっともだ。
 確かにベラベラと話していた私達も悪いけど、そんなに怒らなくてもいいのに……。

 課長の印象は、さらに最悪に思えてきた。
何だかこの先が心配になってくる。
 こんな人が上司で本当にやっていけるのかしら?