Alone Again


ラベンダーブルーのトワイライトがベイサイドパークの空を包む様に彩る午後7時、サンセットクルーズの航跡を装飾灯にもたれながら見下ろす僕の隣で、


「こんな静かな海、一人だと悲しい事ばかり思い出して…だから嫌いなの。
でも今日は素敵なパートナーが一緒だから、最高のシチュエーションよね」


海からの風で彼女の長い髪が優しく揺れる度に香る甘いトワレが、僕の心を切なくときめかす。


「君は相変わらず気を持たせるのが上手いね」


確かに彼女は、その言葉が似合うルックスを持った可愛い女性だ。
しかし、その彼女とも今日限りだ。


波に描かれた都会のシルエットを優しい眼差しで見つめる彼女は特に気にしていない素振りを見せてはいるが、僕の方から切り出すのを待っているのかもしれない。


「僕の得意な事って知ってる?」


「得意な事?」


「女の子を無事、約束の時間までに送り届けてあげる事さ」


「あなただって、変わってないわよ」


心の深い場所で癒された過去は、きっと今以上に彼女を素敵な女性へと変えてくれる。
僕はそう願い、笑顔の彼女を信じる事にした。