『10時48分…』

死んだ…デート死んだ…


落胆する私を見てコイツはきいてきた。

「杏奈泣きそうだね。どうして?」


『約束すっぽかしちゃったからに決まってるでしょ!
バーカバーカ!!』


いまどきバーカバーカって…

自分でもおいおい…と思ったけどそれでも、やりきれない気持ちだった。。。


『……グスッグスッ…どうし…よ…』


「今からでも間に合うだろ?走りなよ」


えっ?と潤んだ瞳でクロ
(だと思われる変態)を見る私。


ぼやけていてよくわからないけど、優しく笑ってくれていると分かった。



『………でも』

「でもじゃないでしょ。昨日眠い目擦りながらクッキー焼いたのは誰?一生懸命クリスマスプレゼント選んでたのは誰?」


クロはしばらく間をおいて言った……―――



「杏奈でしょ。ほら行きなよ」




優しいけど、強い声だった


私はメイクも忘れてクッキーとプレゼントを持って走り出した―――