「で?本当はどういう関係なの?」

逃してはくれなくて、姉は顔を覗き込んでくる。

「時々、飲みに行くだけ。ホント、それだけ」
「嘘よ」
「嘘じゃない」
「だったら、どうして目を合わせないの」

怒りを滲ませた姉が力強く私の腕を掴む。

「人には言えない関係なの?また中途半端なことをしているの?」

……また、ってどういうこと?

「中途半端なんかじゃ……」
「私、知ってるのよ。朝陽、あなたが中学時代、夜になったらいつも家を抜け出していたこと」
「……!」
「一度、あなたを追いかけたことがある。だから、知っているのよ。あなたが誰に会っていたか。何をしていたか」

嘘。じゃあ、姉は全て知っているというの?私と真月の秘密の関係を。

「恋人でもない。ただの友達でもない。その関係を中途半端と言わずになんて言うの?」
「……お姉ちゃんには関係ない!」
「関係ある!」
「ない!」
「夕陽も朝陽ちゃんもやめろ」

私の腕を力いっぱい掴む姉と、姉が妊婦であることも忘れて腕を振りほどこうとする私を、冷静な声で止めに入ったのは、将大さんだった。