待って待って。
どうして、真月が怪訝そうな顔をしているの?
もしかして、私達、すっごい大切なことを誤解していない?
「それ、宮端さんに聞いたのか?」
「え。ううん。宮端さんには聞いていない。でも私見たもん」
「何を?」
「宮端さんが真月に告白しているところ……」
ますます真月の眉間にシワが寄った。
怒っているのではなさそう。ただただ困惑しているみたいだ。
「俺、宮端さんに告白されたことないけど。彼女の好きな人聞いたことある?」
「本人に聞いたことはない。でも、彼女、真月に向かって“ずっと好きだったんだ”って。“心に決まった人がいることは分かっているけれど、諦めきれないんだ”って……。真月、しょうがないなぁって言ってたじゃん!」
私が力説してみせると、真月は呆れたようにため息をついた。
「朝陽、それは多分、全部誤解だ」
「ええ!?なんで!」
「宮端さんの好きな人は……俺がバラすことじゃないけど……将大さんだ。宮端さんは友人である俺に協力を仰いだだけだ」
真月の話は目から鱗である。
その時の話を真月に言わせるとこうだった。
①宮端さん:『将大さんが好きなんです。協力してもらえませんか!?』
②真月:『いやだ』
③宮端さん:『ずっと好きだったんです!心に決まった人(←この場合、私の姉)がいるのは知っています。でも諦めきれないんです』
④真月:『しょうがないなぁ……』
⑤真月:『将大さんが断ったら諦めろよ』
そして私はこのとき③と④だけを限定して聞いていたらしい!
「私の誤解だったってこと!?」
「どうせ盗み聞きするなら、最初から最後まで聞けよ!」
真月がやっと好きな人を見つけたんだって思って、そんな2人を見るのが辛すぎて、会社も辞めて消えたのに!
まさかの誤解って……!


